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書籍『人材育成で大切なこと』

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会社役員 Sさん


平野先生の知識と経験に基づいたとても分かりやすい文章という事も手伝って、特に専門的な知識を持っていない私でも、どんどん読み進めることができた。
この本を読んでみたいと思った大きい動機の一つはもちろん、自分自身がコーチングというスキルを理解し身に着けられたら、という気持ちからだ。そういう観点では、コーチングを実際にビジネスの現場で使うにあったて押さえておくべき基本的なコーチングに関する知識、例えばコーチングが注目されるに至った社会の変化など、に始まり、コーチングスキルの主要なポイントをステップ・バイ・ステップで学ぶことができるようになっている。また、知識として留めるのではなくて、あくまで実践をしていく際の導きの書となるように、実施における注意点なども明示してある。
読み進めるにつれて、コーチングはビジネスシーンだけでなく、友人との人間関係や、家族、など様々な人間関係に応用できるスキルだ、と感じた。それはすなわち、コーチングを実践する機会が自分の周りに沢山ある、という事でもある。

読み終えて、本の内容を反芻しつつ自分の実体験を思い返しながらシミュレーションしてみる。気になったところをまた見返す。これを繰り返していると、さながら平野先生のコーチングを受けているような、あるいは、自分が相手に対してコーチングをしているような、そういう不思議な感覚を覚えた。それは、この本がまずは読者である自分自身の育成に大きく寄与してくれていると実感した瞬間でもあった。
私はこの本を、私のようにコーチングを理解し身に着けたいと考えるビジネスパーソンの入門書として、のみならず、人間関係をより良いものにしていきたいと考える多くの方に手に取っていただきたいと感じた。

最後に、個人的に一番感激したのは、この本の川底に最初から最後まで流れ続ける「私は、新しい一歩を踏み出さなくても、あなたがそこにいるだけで価値があると考えている。」という、先生の受容と承認というメッセージ、というか、フィロソフィーである。
行動して成果を出してこそ存在価値がある、と日々自分を追い込み、自らを奮い立たせて頑張っている私のような人間からすると、この考え方は目から鱗が落ちる程の衝撃であった。と同時に、互いを尊敬し信頼するという土台の上にこそ、このコーチングというスキルは真の力を発揮し、コーチングに導かれ形作られる人間関係がベースにある社会はとても温かく幸せに満ちているであろう事が理解できた。

本来なら、感想の最後には、読み終えたらコーチングのスキルがしっかり身についた、などとしたいところだが、私はこの本を通じて伝わってくるヴィジョンにこそ、この世知辛い今の社会を進んでいくための、大きくて心地よいエネルギーを頂いた。